紀ノ川のほとりで町に出会う。
2017年 07月 13日
きのうは思わぬ出会いがありました。といっても,相手は人ではなくて町ですが。場所は紀ノ川のほとり。
ひさしぶりに連休をとれて,たっぷり朝寝坊したあと午後になってからの遅いスタート。
8月末の『乗鞍』が遠い目標ですが,ここ2ヶ月の不調から回復して,まずは体力のベースをつくるのが
直近の目標なので,あせらずじっくり登りも織りまぜたLSDに。
急に気温・湿度も高くなり熱中症がコワいので,なるべく木陰が多い山道はどこかな?と思案。
雨雲レーダーを見ると六甲山や北摂方面は午後に雷雨が来そうなので,南の和歌山方面に抜ける
山系がいいだろうと,とりあえず南に向かって気ままなサイクリングに出発。
めざすのは「鍋谷峠」。
大阪と和歌山の間にある,シマノレーシングも練習に使っている南大阪のヒルクライムのメッカです。
と言ってもこちらの方面にボクはうとくて,鍋谷峠も何年か前にラファのクラブライドで一度登っただけ。
ふもとへのアクセスもうろおぼえなので,河内長野からひたすら旧道の国道170号を進む。でも,これが
予想よりもローカルな道で悪くない。
鍋谷峠への道は,4月に開通した国道480号のバイパスやトンネルのせいで,ボクの頭の中のうすい記憶と
前半の印象がずいぶんちがっていました。途中でバイパスを横切るのはちょっと興ざめですが。
一車線の「鍋谷らしい」区間に出てからはイーブンペースで淡々と登ります。
そうそう,ここは展望もなくてひたすら同じ景色の中の7,8パーセントの坂を登る「練習コース」っぽい
峠だったと記憶がよみがえります。
峠をこえて,あとは紀ノ川のほとりまで一気にダウンヒル。
交通量の少ない左岸(南岸)に渡り,かつらぎ町と橋本市を横ぎって,五條まで出て
金剛山を登って帰るループの予定。
それより手前の蔵王峠(県道61号)あたりの方が峠の景色が良いのですが,帰りは日没後に
なるので,路面の荒れたルートはまたの機会に。
それにしても紀ノ川から吉野川へと遡上する左岸の道はのどかで気持ちがいい。
真っ平らでゆるいカーブが続き,アクセントのように集落が点在する田舎道はなんだか懐かしく,
空が広くて昔の街道の気配があちこちに漂っています。
日暮れが近づいても夏だから帰りを焦る気持ちにならないし。
橋本市内の学文路(かむろ)近くで早いめの夕飯をとるともう日没の時間。
五條で奈良県に入り,ここから北上して金剛山の登りに。
いつも五條の町はこんな感じで,金剛山や高野山,あるいは吉野へのサイクリングの通過点と
してよく通るのですが,昨日は夕暮れどきでゆっくり走っていたせいか,市内の信号待ちで
「五條新町通り〜重要伝統的建造物群保存地区」」という標識が目に入りました。
こっちへおいでよと,ずっと続く古い家並みに誘われて,たそがれ時の新町通りを進んで
ゆくと,そこには宝石のような街並みが。
うわあ,五條ってこんな古い家並みを残している町だったんだ!とびっくり。
なんせいままでは,表通りを通りすぎるだけで,お世辞にも豊かで美しい家並みの町だとは
思ってもいなかったのだもの。
帰ってからいろいろ資料を見ていますが,400年以上の歴史を誇る新町通りの家並みは,
120軒のうち80軒ほどが江戸時代からの建物だとか。
また,大正や昭和の初期に建てられた洋風の建築にも味わい深い趣があります。
中心地にある「まちなみ伝承館」が2004年の開設なので,こうした過去の資産の良さを
見直して積極的に活用しはじめてまだ10年あまり?
こんな素敵な家並みの存在を知らなかったボクの無知はさておいて,まだまだ観光地として
手垢にまみれず,何よりも伝統家屋がいまも暮らしの舞台として機能しているのが素敵です。
町の規模や歴史資産という点では,北イタリアの町ヴィツェンツァ(カンパニョーロの本拠地でも
ある町)やアルザスのリクヴィルなどの,ツーリズムタウンとして確固とした地位を持つ町にも
匹敵するのでは?
そのわりにはまだまだ五條の知名度って高くないですよね?
160km,1,600mアップと暑い中にしてよく走れたうえに,素敵な町を「発見」できて,
帰りの峠道も足どりは軽やかなのでした。
またじっくり行ってみようっと。
by pedalweb
| 2017-07-13 20:26
| 練習ライド
|
Comments(0)