さようなら,モロー先生!

きのう7月31日の朝,パリの自宅で女優にして映画監督のジャンヌ・モローが亡くなりました。

書きました。

性別も国籍も生きる境遇もぜんぜんちがう大女優のように生きたいと,名もなき東洋人のボクが
書くのは奇妙なことなので,少しためらってから公開した作文でした。

でも,彼女の存命中に書いておいてよかった。

映画や舞台芸術の世界で自分が信じる価値や美の実現に迷うことなく進み,自由を重んじ,
年をとっても先進的であることをいとわず,しかもエレガントなたたずまいを深めてゆくスタンスは,
まさにボクが憧れる生き方そのものでした。



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おもな外電が彼女の訃報を伝えているのを見て,あらためて名声と実績の両方をそなえた人だったと
再認識するとともに,彼女の死によせられる記事や声に心からの敬意にみちたものが多いのも
うれしいことでした。

たとえば,フランスの現大統領エマニュエル・マクロンはツイッターで次のような言葉を述べています。

  Légende du cinéma et du théâtre, Jeanne Moreau fut une artiste engagée
dans le tourbillon de la vie avec une liberté absolue.

   (映画と舞台の世界の伝説となっていたジャンヌさんですが,純粋な自由を体現しつつ,
    疾風のように生きた真の芸術家でした)

「疾風のように」という一節は,ジャンヌの出世作,トリュフォー監督の『突然炎のごとく』の挿入歌
引用ですが,若かりし頃の彼女へのオマージュをフランス国民と共有したものでしょう。

でも,24才年上の奥さんとの出会いが高校の演劇の授業で,教師であった奥さんと演劇について
議論するのが何より好きだったというマクロン氏の言葉には,国を代表する文化人へのとおり一遍な
弔辞ではなく,心からの敬意と親愛の情が感じられます。

彼女はちょうどボクの両親の世代のひとでしたが,彼女の訃報を知って,ボクは残る人生を生きる
バトンを渡された気がしました。

あなたはあなたらしく生きなさいね。いつまでも自由と優雅さを忘れずにと。

若い頃から,控えめだけれど,独特の美しさがあった彼女が微笑みながらそう語りかけている
気がします。

モロー先生,たくさんのことを教えていただいて本当にありがとうございました。





by pedalweb | 2017-08-01 12:31 | 音楽 ,美術,映画,文学,思想 | Comments(0)