2017 信州峠めぐりツーリングレポートpart4〜渋温泉と観光の「いま」

渋峠へのツーリングから渋温泉に帰りついたのはあたりがもう薄暗くなりはじめる頃でした。

いかにも古くからの温泉街らしく,宿のあいだの道は一方通行で,石畳の狭い路上には外湯めぐりの
浴衣のカップルやグループがそぞろ歩き。今夜の宿をさがしながらの運転はできるかぎりの慎重さで
ソロソロと進まなければなりません。

こういうロケーションの宿ということで,駐車場の数や場所が泊まり客にとってちょっと不便だったり
するのはイマドキの日本では珍しいわけですが,ヨーロッパの古い街の観光地ではよくあること。
「歴史のある場所に来たぞ!」という感じがして,ボクには好ましい要素と映ります。

一方,やっと見つけだした宿の玄関からすかさず出迎えの女性が出てらして,にこやかに挨拶をして
バレット役(駐車担当)の番頭さん?にキーをあずける流暢な采配はまぎれもなく「おもてなし」の国
ジャパン。

ボクは汗くさいジャージ姿だし,こういう「丁寧な」宿には滅多に泊まらないので,かな〜り緊張して
宿の玄関へと進んだのでした(苦笑)



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今回の旅で「乗鞍」のレース前日のサイクリング以上にボクにとって刺激的で面白かったのは,
お世話になった『湯本旅館』やこの渋温泉の町自体のあり方でした。

学生の頃のおぼろげな記憶よりもずっと観光地化して(多くの宿がビルになり),ある意味
手垢がついて個性をなくしてしまったようにさえ見える隣の「本家」である湯田中温泉に
くらべると,「分家」のように影がうすかった渋温泉の古風なたたずまいの良さが,いまは
かえって「モダン」に見えるのですね。



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どうやらこれはボクの勝手な印象ではなく,宿のおかみさんによると「以前とは立場が逆転して,
いまでは湯田中温泉から羨ましがられている」のだとか。

日が暮れて,浴衣を着てうちわを持ってそこかしこの外湯を巡り歩くのにちょうど良い
ヒューマンなサイズ。ところどころ迷路のように入り組んだ路地やノスタルジックな店構えの
「昭和な」いやもしかすると「戦前の」もう消えてしまった日本を感じさせる商店たち。



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まさにこれは,グローバル化した世界だからこそ,徹底してローカルで,グローバルの荒波から
美しいままに生きのびた場所を求めて人々が世界規模でたずね歩く時代の「観光資産」ですね。

以前にも書いたことがありますが,ボクは海外を旅行するときもあまり世界遺産が売り物になっている
観光地には興味がなくて(行けば感心することも多いですが),街や集落の大小を問わず
「暮らしている人の気配がちゃんとある,昔ながらのたたずまいが美しい」場所が大好きです。

その意味で,この渋温泉は刺激的で面白く,予想以上期待以上によかったなあ。



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もちろん,ただ「歴史性」が豊かであれば良い観光地になるというわけではなくて,そこにつねに
「革新」の要素が必要です。

渋温泉の場合は,観光客をも巻き込んだ「コミュニティーのぬくもり」を育もうとされていて,
ちゃんとそれが発信されていますね。地域の観光ウェブサイトからそれがうかがえます。

個々の宿のレベルでも,それぞれまだコマーシャルになりすぎない規模で個性を出されていて,
それが街のそぞろ歩きの魅力にもなっている。

ボクが泊まった湯本旅館の場合は,元気でおきゃんなおかみさんがいろいろ工夫されていて,
120年の歴史がある古風な宿の建物を器にして,料理やアメニティの面で新しい工夫を盛り付け
られていて,モダンさをちゃんと感じました。



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目と舌にうれしい夕飯を部屋でいただき,優しく清冽な湯にゆったりとくるまれる内湯でくつろぎ
(ボクはスズメの行水派なうえに,時間帯の面で混んでいた外湯には行かなかった),のんびりと
一日の自転車旅行の写真を整理するのは心から幸せを感じられる時間です。



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朝おきて(変なアラームが鳴った朝だったけれど 笑),朝湯に入り,youtubeから好きな音楽を
探して静かに流して,部屋に運んでいただいた朝ごはんをいただきながら,ツーリング最後の
プランを確認。

さあ,今日はどんな道に出会うかなあ。

ああ良い温泉だった。また泊まりに来ようっと。


(続く)


*この朝聴いていた曲。和風旅館にもよく似合います(笑)









Commented by リキ at 2017-09-04 19:33 x
こんばんは。
渋峠は是非走ってみたいところのひとつですが,pdal さんの写真を拝見すると,ますますその気持ちが強くなります。
おまけに,この温泉街のたたずまいのよさ! こんな旅館に泊まったことがないのですが,自分が映画の登場人物にでもなったような気分になれそうです。いいなあ~。
Commented by ペダル at 2017-09-05 17:10 x
リキさん,渋峠はホントにいいですよ!
名古屋からですと行きやすい土地ですし,ぜひ(^^)

渋温泉は拠点として便利なだけじゃないのが良いですね。
奥様同伴でいらしてください。
by pedalweb | 2017-09-04 00:12 | ツーリング/ポタリング | Comments(2)