2017 信州峠めぐりツーリングレポートpart5〜下諏訪から高ボッチスカイラインへ

ようやく夏の旅行もおしまいです。「ひとり旅」モードのエンジンがかかって調子が出てきたばかりですが(笑)

居心地がよくて大満足だった渋温泉の宿を朝8時すぎに出発。

上信越道から長野道へと入って,めざすのは諏訪湖畔の下諏訪の町です。ツーリングの最後は下諏訪から
北に広がる高原地帯の道をたどる計画。

「××峠」とはっきり名前がついたポイントがほぼ見あたらないルートですが,高ボッチ高原へと登る
「高ボッチスカイライン」をへてさらに北に進み,美ヶ原の南にそびえる鉢伏山に続く
「鉢伏スカイライン」をゆくと,峠状の高地に山荘があって,そこがゴールとなります。

この高ボッチのルートを選んだ理由は3つ。

(理由1)
フェイスブックで「信州の景色のよい峠を教えてください!」と募ったところ,他に白馬方面や御嶽方面なども
教えていただいたのですが,長野から関西への遠い帰り道をひとりで運転することを考えると,中央道から
アクセスの良い下諏訪から登れる高ボッチ高原は都合がいい。



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*高ボッチ高原の牧場のあたり。まさに「高原の夏」です。



(理由2)
ネットで調べると,条件がよければ,諏訪湖を囲むように連なる八ヶ岳・南アルプス・富士山を
一望できる。とくにボクのような関西人にとっては,峠に登ってそこから富士山が見えるというのは
ものすごくポイントが高い。見慣れていない「富士山」って非日常のシンボルですから(笑)



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(理由3)
「高ボッチ」という名前がよい。「ボッチ旅」にぴったりだ(笑)

調べてみると,この外国語のような「ボッチ」という語幹には諸説ありますが,名前としては明治時代の
地形図から採用されているとこのこと。「ダイダラボッチ(民話の巨人)が腰かけた高台」説などもありますが,
どうやらアイヌ語の「ボッチ(巨大)」に由来するようで,「標高が高いところにある大きな平原」というほどの
意味らしい。

四国で山のことを「森」と呼ぶのも古代朝鮮語のmori(山)やアイヌ語のmoy(山頂)に由来するという
説を読んだことがありますが,かつては日本全土にアイヌの人たちが暮らしていたことを考えると,
この説に説得力がある気がします。

そんなわけで,長野県内をぐ〜んと南下して,下諏訪の町へ。

ボクは下諏訪を旅先としてたずねるのははじめてだったのですが,ここには行きたかったお店があります。



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香港出身のカナダ人のエリックさんがひとりでされているカフェ『エリックス・キッチン』です。

自転車雑誌でその存在を知ったのですが,民家をご自分のテイストで染めあげて,オーガニックで
繊細な味わいのカフェメニューを出されています。

下諏訪の町が出しているタウンマップには「ワイルドな内装と幅広い料理」と書かれていますが,
エリックさんが(たぶん)あまりお金はかけずにコツコツと自分の感覚に忠実に仕上げたはずの
内装はとてもデリケートだし,新しい。「ワイルド」とは対極だとボクは感じます。

料理の種類は少ないけれど,ていねいで美味しい。彼の出身というか,彼が生きてきた人生の地理や文化の
広がりや多様性を感じさせるもの。「幅広い」というより奥深いですね(ちなみにエリックさんは日本語は
とても堪能)。



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お店ができた背景も面白いなあ。お店の情報はこちらがわかりやすいです。



優しくてヘルシーなランチをいただいて,あまり口数が多くはないエリックさんと少し
おしゃべりしていると,「どこかの誰か」に似ている気がしてならなかったのですが,
よく考えたら,ボクのチームのキャプテンと彼のお店によく似ているのでね,雰囲気が。

なんだ,『イーズカフェ』に帰ってきてたのか(笑)

去年の春に開店して,まだまだメニューなども変わってゆくでしょうから,また機会があれば
ぜひ立ち寄りたいなあ。

のんびりランチのあとは正午すぎに高原ルートへスタート。



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*激坂を登りきった四つ辻に建つ新しい道標。



幹線道路は味気ないので,旧中山道をたどります。旧街道だからのんびり走って登りの入り口までと
思っていたのですが...(汗)



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岡谷市に入って,いかにも旧街道っぽい茶屋本陣(大名や公卿などの休憩所)の今井家住宅の前をすぎて
岡谷ICの北をまわりこむと,いきなりけっこうな斜度の山道になります。

1km弱の間の平均勾配は15パーセントほど。500mほどにわたって20〜25パーセントの登りが続きます。

はじめての道で先の斜度を知らずに(関東でいうと富士あざみライン,関西でいうと大阪と奈良の間の
暗峠級の)激坂に出くわしたときの驚きときたら(笑)

地図で見ると現在の中山道(R20)が塩尻峠をくねくねと蛇行して登っている北をほぼ直登で通っている
のでキツいのは当たり前ですね。

その昔は塩尻峠が難所と呼ばれていた理由をたっぷり脚で実感しました(汗)



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峠から少し下ったところから「高ボッチスカイライン(林道塩嶺高ボッチ線)」がはじまります。

9kmほどの登りですが,序盤はゆるやかで終盤は10パーセント前後がずっと続きます。えっちらおっちら
登ってゆくと,見晴らしの良い高原に出ます。

さあ,待望の諏訪湖ごしに眺める富士山は!?



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あいにく今日は前日にもまして空がかすんでいて,八ヶ岳や南アルプスは見えるものの,富士山は
片鱗も見えず。上の写真でトンボが写っているすぐ下あたりのはずなんですが...

気をとりなおして,しばらく高原の爽やかな風に吹かれて休憩したあとは,草原や潅木の間を
北上して,1kmほど下って「鉢伏スカイライン(鉢伏山林道)」に入ります。

全長5kmほどで,途中いったんVの字の形に谷を下ったあとに10〜15パーセントの登りを
2kmほど登って鉢伏山荘までのびる道。

気温が高めだったこともあって,けっこうタフ。

でも,終盤の景色に大満足。



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*高ボッチ高原ごしに中央アルプス方向をのぞむ眺め。



高ボッチ高原のことを教えていただくまで,ボクの頭には諏訪湖の北のこの高原地帯の存在は
まったく入っていなかったのですが,「峠道」という意味では鉢伏山荘へのこの登りは
高ボッチ高原以上に素晴らしいかも(厳密には,行って帰っての道で「峠」ではありませんが)。

兵庫県下の中国山地にも同名の高原があって,はじめて名前を目にしたときにボクの頭の
中にはそっちのイメージしかなかったのですが,「ボッチな」鉢伏高原にはそれほどの知名度が
ないものの,えもいわれぬ明るい優雅さがあります。

また訪れたいなあ。バゲットのサンドイッチとコーヒーを入れたポットを持って行って。

四方の山々を眺めながら標高2,000m弱の高原でランチを楽しむなんて良いなあ。荷物背負ってあの坂を
登るのはきっと大変だけど(笑)

観光地化した美ヶ原が失った静けさを保つ場所だと賞賛するサイトも目にしたのですが,
たしかに乗鞍や渋峠とはちがった「知る人ぞ知る夏の隠れ家」のような場所なのかもしれません。

げんに狭いスカイラインのわきに車をとめて読書したり散歩したりしている人を何組か見かけましたが,
皆さん地元ナンバーの車でした。

きっと松本周辺の方にとっては手頃な避暑地なのかもしれませんね。

帰りは高ボッチ高原から塩尻へと下り,また旧中山道をたどって下諏訪へともどりました。



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こうしてボクの夏の信州峠めぐりツーリングはおしまい。

ひさしぶりのひとり旅の日もあり,はじめての峠もあり,お天気に恵まれ,素敵な町や宿やカフェに出会い,
生き生きと暮らす人に出会いました。

毎日の暮らしの中で心に影が差す出来事があったり,気持ちが晴れ晴れしないとときがあっても,
いつかまたこの夏のように旅に出て,思わず息をのむような景色に出会うことがあると思うと,
心が軽くなります。

さあ,次はどの峠に向かってペダルをまわそうかなあ。



(了)


*4日間の走行データ

【1日目】
距離:28.8km
獲得標高:972m
平均気温:19度
走行時間:2h12m

【2日目】
距離:19.3km(レースのみ)
獲得標高:1,192m
平均気温:15度
走行時間:1h25m

距離:29.1km(リカバリーライド)
獲得標高:646m
平均気温:19度
走行時間:1h50m

【3日目】
距離:82.8km
獲得標高:2,146m
平均気温:23度
走行時間:5h00m

【4日目】
距離:52km
獲得標高:1,573m
平均気温:26度
走行時間:3h47m



 



Commented by や ま at 2017-09-11 20:53 x
いやあ素晴らしい夏休みでしたね。
山はなにより天気が問題ですが、天候にも恵まれ、草津温泉も優雅で、こんな旅をしたいなあとすべての面で羨ましく思いながら読ませていただきました。
鉢伏山方面は未走なので、是非また一度行ってみたいと思います。
Commented by ペダル at 2017-09-12 23:04 x
や まさん,ありがとうございます。

乗鞍のレース後のこんな楽しい時間を持てて本当に今回はラッキーでした。

あらためて自分が自転車遊びに何を求めているかがよくわかった旅でした。

また四国にもお邪魔しますので,機会があればぜひ遊んでやってくださいな(^^)
by pedalweb | 2017-09-07 21:41 | ツーリング/ポタリング | Comments(2)