心を癒す秋のポタリング

8月の『乗鞍』のあとは例年自転車で走るモチベーションが一時的に下がります。いわば「9月病」(笑)

かといって,若い人とちがって,いったん低下した筋力や心肺の能力を短期間でとりもどすのは難しいので,
大小さまざまなお楽しみの要素をとりこみながら,結果的に「練習」にもなるようなサイクリングを
続けてゆくのが中高年サイクリストの「冬じたく」かなあと思います。
(ボクの感覚だと,40代前半にくらべても,50代後半になると走力の回復に2,3倍の時間がかかります)

ただ,ボク自身は,9月に入って仕事の面で気がめいることが出てきたので,そういうお楽しみ込みの
ロングライドがほとんどできずじまい。

悩む時間が長くなり,寝る時間や遊ぶ(気分になれる)時間が短くなっているのですね。

もちろんそんなときでも(そんなときこそ),自転車を通じて学んだことが気持ちの支えになっています。


【ボクがサドルのうえで学んだ人生訓】

・どんなに遠く思えても,ペダルをまわし続けていれば間違いなく目的地は近づいてくる。

・楽な時間帯には楽な時間帯のペダリングがあり,苦しい時間帯には苦しい時間帯のペダリングがある。
 ずっと同じようにガンバれなくてもかまわない。

・自分にはまだまだ隠れた力があり,「限界」は工夫すれば引き上げることができる。


こんな感じかなあ(笑)



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*帰り道の竹内峠への旧街道。



そんなわけで,先週末は心が癒される道を求めて,近場でふらっとサイクリング。

行き先はお気にいりの奈良・當麻寺です。

往路は大和川のサイクリング道から石川沿いのサイクリング道を少し走り,ブドウ畑が広がる
羽曳野の丘陵地をグリーンロードで太子町の手前まで進みます。そこからはr703へ。

ふだんあまり通らない穴虫街道(r703)を選んだのは,二上山の北を奈良へとまわり込む
この道が大阪平野と奈良盆地を結ぶ他のどの峠よりもゆるやかで交通の往来も少ないから。

そう,今日は楽して国境をこえてゆきたい。ふだんならもっと「峠感」を味わえるルートを選ぶのですが。



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そして,奈良の県内に入ると,少しずつ集落や田畑のたたずまいが変わり,どこか懐かしい景色が
そこかしこに出てきます。

なかでも秋らしい日本の景色といえば,色づいてたわわに実った稲田の脇に並んで咲く彼岸花。

毒があるとか,お墓の周囲によく咲いているとか,さまざまに「死」を想起させる植物で,ボクも
正直なところ「日本の秋」のアイコンのひとつでなければあまり写真を撮ろうと思わない被写体です。

おそらく,そうした土着の「忌避」の一番の理由は,その鮮やかすぎる朱の色合いと葉がまったくない
独特で不安定なフォルムがつくり上げているビジュアルや雰囲気ではないかと思います。

同じ秋の花でも秋桜花とちがって,なんだか気の毒な扱われ方だなあ,と撮りながら思ったのでした。

発芽してから1週間あまりで開花をへて枯死するその生涯は,春いっせいに花咲くとき以外は顧みられる
ことのない桜や夏に地上に出てきて盛んに鳴いては亡骸(うつせみ)となる蝉の短い生涯に似ていますね。



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さてと。

穴虫峠から山の端のうねうねと続く集落の間の道を行くと當麻寺へすぐに着きます。

このあたり,古くからの道はどれひとつとして,まっすぐには延びておらず,かと言って古くからの
城郭都市や環濠集落のように「外敵への防御」という大義で道がうねっているというふうでもない。

たまたま地形にあわせて田畑への用水や人の往来に応えて道ができたら,こんなウネウネになったんです
という気配なのです(笑)

東の奈良盆地にのぞむ斜面の上の広い空とあいまって,なんだかほっこりするのは,この自然な姿で
できあがった道があるからかもしれません。

そんな道の脇の一軒のお店に今日は立ち寄ろうと思っていました。



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當麻寺からほど近い集落の中にあるこのお店,ずっと気になっていました。

面白いのは,パッと見では酒蔵のように見えるのですが,実は文具店が経営するカフェと手工芸の
ギャラリー。『文晃堂』といいます。
(あとで調べると,やっぱりもとは北川酒造という酒蔵だったとか)

當麻寺の門前にも茶店やカフェがあるのですが,こちらの立派な建物が気になっていて,時間が
あるときに休憩したいと思っていました。

店内も落ちついていて,周囲の田園風景とは不似合いなほど都会風かつクラシックなカフェに
なっています。ちょっと高島屋なんかのマダム向けサロンドテ風な感じ。レーパン姿だと
気恥ずかしかった(笑)



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メニューに「おすすめ」と書かれたアップルタルト(これもマダム風でお上品)とコーヒーのセットを
いただいて,すっかり優雅でマダムな気分になってお店を出たのでした(おほほほほ)。

次の週末はクラブメンバーと一緒にまた信州でのツーリングに遠出しますが,ふだんの週末でも
ふと思い立ってサドルにまたがり田舎道へと走りに出て,つかの間であれ悩みを忘れられるのは
イイですね。

自転車を趣味にしていてよかったと思える一コマです。




by pedalweb | 2017-09-26 17:03 | ツーリング/ポタリング | Comments(0)