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桜と疾風怒濤の空と

あいにく傘を持たずに外出されて雨に遭われた方や,早々と冬服をしまって春の薄着の軽装で
出かけてはった人には申し訳ないのですが,昨日の天気,ボクにとってはとても素晴らしかった。

お昼すぎに自転車で阪急夙川駅に向かう頃から,六甲山にかかる雲はどう見ても不穏な雪雲。

駅のホームで電車を待つ間,雨ともみぞれともつかない冷たい粒子が横殴りに襲いかかる。

空を見上げると,暗い雲間からもれ差す陽光の間を銀色の糸が太刀魚のように地面に
突き刺さる。

スペクタクル。寒さを忘れて思わず見とれてしまう。

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夕刻,仕事を終えて梅田から戻り,また陽が差しはじめた夙川のほとりの桜を見に行きました。




この週末には,たくさんの人が出て,桜の下で「桜を感じずに」桜の花見をされるのでしょう。
それはそれで,桜以上に「人とのつながり」に気持ちが向いての「花見」なので,仕方がない。

でも,ここ夙川公園の桜は,嵐山などもそうだけど,周囲の自然を背にしてこその桜。

六甲山があり,夙川がそそぐ西宮の浜があり,たおやかな姿の甲山があり,
その四方の自然を凝縮した花びらを感じれば,もっとその小さな官能に共感できるのに。

そもそも花見って,植物性器を静かに拝ませていただく行事....固唾を飲まなければ(笑)

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その昔,ボクがはじめて女の子とつき合いだした頃,父親が何を考えたか(知らないけど)
「ヘッセを読むような娘とつき合え」と言ったことがあります。

昨日,桜を撮っているうちにまた六甲山の方から雪雲が川岸の上まで覆いかぶさってきて,
冷たい粒を降らせてきたとき,ふとその言葉を思い出しました。

「ヘッセを読むような娘と...」って。

ボクが高校生の頃ならいざしらず,このデジタルで,ロマンチシズムさえストックではなく
フローの中でしか生き延びることができない時代に,もし父親が年頃の息子に
「ヘッセを読むような娘とつき合え」なんて言ったら...

思わずボクは微笑んでしまいます。

戦中から戦後まもない頃に学生時代を過ごした父親の世代の,旧制高校的な
あのロマンチシズム。

ボクは決して嫌いではなくて, ボクもヘルマン・ヘッセは好きでよく読みました。

にしても,父親の顔をしながら,何と青臭いことを言っていたんでしょうね,オヤジはあのとき(笑)

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昨日の天気もそうですが,いつまでも春になりきれない春や,いい年をして
シュトルム・ウント・ドランク(疾風怒濤)の若い精神に憧れを抱き続ける姿勢には
えてしてどこか破綻の危うい気配があります。はた迷惑なことも珍しくはないし。

でも,ボクはそういう青臭さは好きです。
満開よりも三分咲きくらいの桜が好きなように。

そして,自転車乗りには,オトナにしては固くまだつぼみのシュトルム・ウント・ドランクな人が
けっこういますね。何でやろ?

面白いことです。

「世間」から見ると,たぶんこんなふうに↓見えているのかしらん(笑)

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*おとといの朝,山手幹線で見た2CV。
 おっちゃん,やるなあ〜(笑)
Commented by adr_97jp at 2010-03-31 01:08
何と言うか、その、
「正しいブリキのバケツの使い方」と思ってしまいました。

実家の裏山には桜の木が無いので残念。
Commented by ペダル at 2010-03-31 18:51 x
adr_97jpさん,ブリキのバケツですか,うまいことおっしゃいますね!

こんな運び方が似合うのは2CVかパンダくらいでしょうね。
朝っぱらから面白いものを見て気分がほぐれました(笑)
Commented by hiro at 2010-03-31 21:05 x
いい味出してますね〜この2馬力
カンヴァストップのクルマに乗ってる人は常に考えてるんですよ、こういう使い方。
ウチも先代パンダに乗ってた時は色々突き出してましたもん(笑)
でもこんな大きな桜の枝、どうするんやろ?
Commented by ペダル at 2010-03-31 23:49 x
hiroさん,ええでしょ,この2CV。
ほいでまた運転してはったのが芦屋のパン屋の店主ビゴさんみたいな
ジイさま(ビゴさん本人ではなかったんですが)。

クルマって,値段に関係なく,けっきょく乗り手が似合っている人で
似合った乗り方をしているかどうかですよね。

阪急御影でのあたりで見かけて,次に新神戸駅のあたりで追いついたら
桜が消えてました(謎
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by pedalweb | 2010-03-30 00:10 | 暮らしの中のあれこれ | Comments(4)