大人の夏休み~ECCC『宮本武蔵ライド』
2016年 08月 04日
この週末の日曜,ひさしぶりに開催の姫路ECCC(イーズカフェ・サイクリング・クラブ)のライドに参加。
5月21日の『播磨酒蔵イド』のあと,6月の実施予定日がお天気にめぐまれず延期続き。
やっと今回実現しました。
前日の予報では午後に降雨。でも,うまく雲の動きと逆に走って短時間だけの「おシメリ」。ラッキーです。
今回のコースメイクも姫路周辺の道を知りつくしたチームメイトのキタノさん。企画にガイドに,いつもの
ことながら,配慮がゆきとどいた楽しいライドでした。キタノさん,ありがとうございます!
ボク個人は,ひさしぶりのイーズカフェのオフィシャルライドだということに加えて,子どものころ病弱だった
ため一年のうちの2ヶ月ほどを過ごした岡山の田舎にとても近いエリアを走ることに興奮していました。
宍粟(しそう),佐用(さよう),美作(みまさか)...子どもの頃の自分には魔法の呪文のようだった地名たち。
走馬灯のように子どもの頃の夏休みの情景を思い浮かべながら,スタート地点の中国道山崎近くの
「伊沢の里」へ。
*今回のライドのハイライトのひとつ「ドボン」。自転車を降りて河ガキになって大はしゃぎ。楽しいなあ(笑)
ところで,こういうお楽しみサイクリングのレポートに「大人の夏休み」というタイトルをつけるのはよくある
ことですよね。いわば映画のキャッチコピーの「全米が泣いた」みたいなもの。
でも,なぜ「大人の」夏休みという響きがボクらの心をつかんで放さないんだろう?そもそも大人にホントの
夏休みってないのだろうか?...なんてことを,みんなの楽しそうな姿を撮りながらつらつら考えて走って
いたわけです。
* * *
ほとんどの大人が毎日の暮らしの中で不機嫌な顔をしてすごしているのは,自分がやりたくないことをして
すごしているからではなくて,その苦労を他人からちゃんと評価してもらえていないと感じていたり,
他の大人が不機嫌な顔をしているのを見て,ピュアだった自分もこんなふうな「大人」になってしまって
いるんだと思いあたって悲しくなってしまうからではないかしら?
でもボクらサイクリストは,涼しい山の道をたどり,風を友だちにして進み,清流を見つければ,メットと
シューズとふだんの暮らしの中でまとっている「不機嫌な大人の顔」を脱ぎてて,大はしゃぎで
水に入ってゆく。
仲間の楽しさがはじける姿を見て,良いなあカワイイなあと共感し,自分も心から楽しむ。
ピュアな自分がよみがえり,生まれてはじめて世界を見たときの驚きとよろこびはこんなふうに鮮やか
だったにちがいないとナットクする。
「大人」だからこそ忘れかけていた「夏休み」の解放感とよろこびをなおいっそう感じるのですね,水辺で。
だから「大人にこそ夏休み」。
*大人は用意周到でもあるので,ちゃんとサドルの下にはサンダルもくくりつけている(笑)
そして,もうひとつ「大人ならではの夏休み」も。
ボクはキタノさんのプランを見て,宮本武蔵生誕地とともに佐用川沿いの宿場町「平福(ひらふく)」を
訪れるのをずっと楽しみにしていました。
江戸時代から戦前にかけて鳥取と播州をむすぶ因幡街道の要衝地としてさかえたこの宿場町は,
街道側よりも川面から眺めたときの景観の美しさで有名です。
といってもボクもキタノさんの紹介ではじめて知った町ですが,イタリア中部のトスカーナやウンブリア,
あるいはドイツ国境に近いフランス・アルザス地方の小さな町々のように,かつて富栄え風雪をくぐった
栄華の残り香が漂っています。
いわば「往年の美人女優」のような町(笑)
前にも書いたことがありますが,ボクは巨大テーマパークのような世界遺産スポットよりも
平福のような,過去の豊かさといまそこで暮らす人々の上質な生活感のバランスがとれた土地に
より魅力を感じます。
かつては佐用川を坂越(さこし)から千種川経由で遡上した高瀬舟が往来したそうです。その頃の
富の蓄積の片鱗はいまの町のたたずまいから十分にうかがえます。
そして,帰ってから調べてみると面白いことがわかりました。
お昼をよばれた『瓜生原(うりゅうばら)』というお店はソバもうどんも丁寧に出されていて美味しく,
旧家然とした建物も店内の丁度もお店の方の応対も雰囲気が良かったので,ボクはてっきり
古くから旅人にまかないを提供されてきた老舗だと思っていたのですが,実は去年6月にオープンした
ばかり→関連記事。
しかも,旧家の建築や宿場町の文化保存も意図してはじめられたのだとわかりました。
そうなのか,ここは最近になってようやく町本来の魅力に町の人たちも気がついて温故知新の形で
保存と継承に動き出した町なんだとナットク。
近くにある『日本の棚田100選』に選ばれた「乙大木谷(おつおおきだに)」の集落も含めて,兵庫と
岡山の県境にあるこのエリアには歴史の時間軸をさかのぼってゆけば,地味だけれど魅力に富んだ
訪問先がたくさんありそうです。
行く先々で「往年の美人女優」さんたちと出会い話こむ...そんな「大人ならではの夏休み」って
素敵な時間だと思いませんか?
宍粟・佐用・美作...ボクにとっては子どもの頃からの魔法の呪文でしたが,いままた新しく魅力をまして
響きます。
また秋にも峠をこえて,稲穂の色に染まった棚田を見て古い蔵のあるお店にお茶を飲みに行きたいなあ。
ぞんぶんに「大人の夏休み」を楽しんだ日曜でした。
*今回ゲスト参加のサガンさんが楽しいビデオをつくってくれました。ありがとう!→vimeo
*写真はいつものこちらに→flickr
*ルートはこちら→ルートラボ
5月21日の『播磨酒蔵イド』のあと,6月の実施予定日がお天気にめぐまれず延期続き。
やっと今回実現しました。
前日の予報では午後に降雨。でも,うまく雲の動きと逆に走って短時間だけの「おシメリ」。ラッキーです。
今回のコースメイクも姫路周辺の道を知りつくしたチームメイトのキタノさん。企画にガイドに,いつもの
ことながら,配慮がゆきとどいた楽しいライドでした。キタノさん,ありがとうございます!
ボク個人は,ひさしぶりのイーズカフェのオフィシャルライドだということに加えて,子どものころ病弱だった
ため一年のうちの2ヶ月ほどを過ごした岡山の田舎にとても近いエリアを走ることに興奮していました。
宍粟(しそう),佐用(さよう),美作(みまさか)...子どもの頃の自分には魔法の呪文のようだった地名たち。
走馬灯のように子どもの頃の夏休みの情景を思い浮かべながら,スタート地点の中国道山崎近くの
「伊沢の里」へ。
*今回のライドのハイライトのひとつ「ドボン」。自転車を降りて河ガキになって大はしゃぎ。楽しいなあ(笑)
ところで,こういうお楽しみサイクリングのレポートに「大人の夏休み」というタイトルをつけるのはよくある
ことですよね。いわば映画のキャッチコピーの「全米が泣いた」みたいなもの。
でも,なぜ「大人の」夏休みという響きがボクらの心をつかんで放さないんだろう?そもそも大人にホントの
夏休みってないのだろうか?...なんてことを,みんなの楽しそうな姿を撮りながらつらつら考えて走って
いたわけです。
* * *
ほとんどの大人が毎日の暮らしの中で不機嫌な顔をしてすごしているのは,自分がやりたくないことをして
すごしているからではなくて,その苦労を他人からちゃんと評価してもらえていないと感じていたり,
他の大人が不機嫌な顔をしているのを見て,ピュアだった自分もこんなふうな「大人」になってしまって
いるんだと思いあたって悲しくなってしまうからではないかしら?
でもボクらサイクリストは,涼しい山の道をたどり,風を友だちにして進み,清流を見つければ,メットと
シューズとふだんの暮らしの中でまとっている「不機嫌な大人の顔」を脱ぎてて,大はしゃぎで
水に入ってゆく。
仲間の楽しさがはじける姿を見て,良いなあカワイイなあと共感し,自分も心から楽しむ。
ピュアな自分がよみがえり,生まれてはじめて世界を見たときの驚きとよろこびはこんなふうに鮮やか
だったにちがいないとナットクする。
「大人」だからこそ忘れかけていた「夏休み」の解放感とよろこびをなおいっそう感じるのですね,水辺で。
だから「大人にこそ夏休み」。
*大人は用意周到でもあるので,ちゃんとサドルの下にはサンダルもくくりつけている(笑)
そして,もうひとつ「大人ならではの夏休み」も。
ボクはキタノさんのプランを見て,宮本武蔵生誕地とともに佐用川沿いの宿場町「平福(ひらふく)」を
訪れるのをずっと楽しみにしていました。
江戸時代から戦前にかけて鳥取と播州をむすぶ因幡街道の要衝地としてさかえたこの宿場町は,
街道側よりも川面から眺めたときの景観の美しさで有名です。
といってもボクもキタノさんの紹介ではじめて知った町ですが,イタリア中部のトスカーナやウンブリア,
あるいはドイツ国境に近いフランス・アルザス地方の小さな町々のように,かつて富栄え風雪をくぐった
栄華の残り香が漂っています。
いわば「往年の美人女優」のような町(笑)
前にも書いたことがありますが,ボクは巨大テーマパークのような世界遺産スポットよりも
平福のような,過去の豊かさといまそこで暮らす人々の上質な生活感のバランスがとれた土地に
より魅力を感じます。
かつては佐用川を坂越(さこし)から千種川経由で遡上した高瀬舟が往来したそうです。その頃の
富の蓄積の片鱗はいまの町のたたずまいから十分にうかがえます。
そして,帰ってから調べてみると面白いことがわかりました。
お昼をよばれた『瓜生原(うりゅうばら)』というお店はソバもうどんも丁寧に出されていて美味しく,
旧家然とした建物も店内の丁度もお店の方の応対も雰囲気が良かったので,ボクはてっきり
古くから旅人にまかないを提供されてきた老舗だと思っていたのですが,実は去年6月にオープンした
ばかり→関連記事。
しかも,旧家の建築や宿場町の文化保存も意図してはじめられたのだとわかりました。
そうなのか,ここは最近になってようやく町本来の魅力に町の人たちも気がついて温故知新の形で
保存と継承に動き出した町なんだとナットク。
近くにある『日本の棚田100選』に選ばれた「乙大木谷(おつおおきだに)」の集落も含めて,兵庫と
岡山の県境にあるこのエリアには歴史の時間軸をさかのぼってゆけば,地味だけれど魅力に富んだ
訪問先がたくさんありそうです。
行く先々で「往年の美人女優」さんたちと出会い話こむ...そんな「大人ならではの夏休み」って
素敵な時間だと思いませんか?
宍粟・佐用・美作...ボクにとっては子どもの頃からの魔法の呪文でしたが,いままた新しく魅力をまして
響きます。
また秋にも峠をこえて,稲穂の色に染まった棚田を見て古い蔵のあるお店にお茶を飲みに行きたいなあ。
ぞんぶんに「大人の夏休み」を楽しんだ日曜でした。
*今回ゲスト参加のサガンさんが楽しいビデオをつくってくれました。ありがとう!→vimeo
*写真はいつものこちらに→flickr
*ルートはこちら→ルートラボ
by pedalweb
| 2016-08-04 12:41
| ツーリング/ポタリング
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