道の美学〜ラファ・ジロトリビュート・オープンライド

この週末は久しぶりにラファのオープンライドに参加してきました。去年秋のワイナリーライド以来の参加です。

今回のライドは,いま開催中の『ジロ・デ・イタリア』にちなんで,京都郊外のアップダウンに富む知られざる道を
つなぐファンライド。

『ジロ』のステージでいうならば,ゾンコランのような超級山岳ではないものの,いよいよプロトンが北イタリアの
ヴェネト州から北の丘陵地帯に入り,2〜3級山岳をピークにすえた大一番前の前哨戦で盛り上がる...そんな感じの
コースプロフィール。

いや,むしろプロフィール的には秋の『ジロ・ディ・ロンバルディア』ちっく?まあ,そんな感じです(笑)

実際には距離70km弱,獲得標高1,100mほどのコンパクトなライドなのですが,今回のコースディレクターにして
ライドリーダーであるAさんの「ボクが好きな道ワールド」がたっぷり盛り込まれたナイスなコース。

この界隈をよく知っているはずの地元京都のロコの参加者のサイクリストたちでさえ感嘆の声をあげ続けたのでした。



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*ラファといえば,「黒とピンク」がある種コーポレートカラーですが,もともとは『ジロ』へのオマージュに
 由来するカラーリング。ラファ以前のロードレース界隈にはありえなかった配色。個人的にはラファが生み出した
 一番の革新的な「発明」だと思います。



朝7時に家を出て,名神高速から京都縦貫道に入る頃,とりとめもなく,自転車がこれまでボクに与えてくれた
人と人とのつながりについて考えていました。

今回はどんなメンバーなんやろ?知り合いは少なそうだな。もしかすると,はじめてラファのクラブライドに
参加される方も多いのかな?

だとしたら,ある程度ライドの様子がわかっているボクなどが走行中の参加者の状況を確認するなどして
スタッフをサポートしつつ,積極的に「ソーシャルライド」としてのクラブイベントに参加しなければ。

そうだ!クラブライドが単なる走行会じゃなくて,サイクリスト同士の交流の場でもあることを教えてくれたのも
ラファライドだった。今日も新しい出会いを楽しみながら走ろう...



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*参加者のドレスコードは「ラファのウェアでなくてもかまいませんよ」なのですが,たまたま並んだラファのジレ。
 落ちついたデザインは京北の里の景色にもなじんでいます。Photo by Tomokoさん。



とりとめもない考えが終わる頃,ちょうどいい時間に集合地の日吉ダム「道の駅スプリングスひよし」に到着。

やはり顔見知りのサイクリストよりもはじめての方が多そう。ほどなくして,今回のライドリーダーのAさんも
自走で到着。彼は今日は200kmオーバー?

あいにく複数のイベント開催のタイミングのためラファジャパンからの同行者は来れないとのこと。オフィシャルな
参加はAさんだけなので,ボクや旧来からのライド参加者がリーダーのアシスタントを務める流れに。

さいわい常連のMさんが来られているのがとても心強い。走っている間も最後尾について,彼が6月に参加予定の
韓国での『ラファ・プレスティージ・ソウル』の話題などでおしゃべり。

9時すぎに日吉ダムを出発してまずは東にむかう中世木川沿いのr364へ。

持越峠をこえて南丹市から京都市右京区に入ったあとは,r443へとつないで周山へと南下。

ほとんど車の通行のない京北らしい静かな道をたどるうちに,リーダーが見せたい「道の美学」が
だんだん見えてきます。



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あとで地図を見ると,持越峠のあたりでは以前『グランフォンド京都』で走った道を通っています。

そういえば日本海側の網野の町からずっと京都の裏庭のような杉木立の細道をいくつもたどって嵯峨野まで走ったのを
思い出すのですが,宮津の大江山とならんで,このあたりでいくつも続く小さな峠がサイクリストの難所。

ああそうか。今日は京都盆地を北西の風から守る屏風のような京北の高地を舞台にしたライドなんだとあらためて実感。

そのエリアで,今回は地元のサイクリストもあまり通らない選りすぐりの道を駆けめぐろうという趣向。



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*後続を待つあいだに路傍の斜面に駆けあがって一枚。う〜ん辻啓氏のようにカッコよくゆかない(笑)



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*こちらは上のカットのメイキング写真。こっちの方がカッコいい(苦笑)Photo by Tomokoさん。



r443から幹線のR162に出て少し南に走ったあとはまた名もなき細道で西にもどり,熊田川沿いのr365に出て,
中地のR477までくだります。谷によっては霧雨が降り,路面が乾いているかと思えば,すぐに苔と杉の葉が
敷きつめられた林道になったり...

R477で神吉の集落に出るまではおなじみの北山杉のプロムナード。京都の人には「日常」でも,ボクのような
ヨソ者には来るたびに感嘆の声が出てしまう「非日常」の光景。変わらない「京都の道」がここにはありますね。



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ルートはこのあと紅葉峠を裏から登り,展望台で亀岡盆地を見下ろしながらプチ休憩。水が張られた田んぼの水面が
キラキラと輝くのはこの季節ならでは。

亀岡に来るといつも思うのですが,この盆地には比較的新しく開拓された耕地や牧場が点在していて,もともとは
それほど農耕に適した土地ではなかったように見えます。

けっして瀬戸内沿岸の平地のように乏しい降水量に悩まされるといった気候ではないはずなのに,のっぺりとした平地が続く
この盆地には灌漑用のため池が多い。

あとで調べてみると,どうやら日吉ダムができるまで保津川(桂川の上流)の治水が難しく,狭い保津峡がボトルネックと
なって,たびたび洪水に悩まされてきた土地柄のようです。

いつも嵯峨野から保津峡をこえて日吉に向かう際に,亀岡の古い集落が愛宕山から続く山系に沿って盆地の北東側の
小高い場所に点在するのはなぜだろう?と思っていました。

その理由は,大昔に盆地が湖であった頃は湖岸(湖底から100mの標高)に沿った場所に形成された集落が
いまは小高いところに位置するということなんですね。

だとすると,いまは隠れ里のようにしか見えない,保津峡から北のエリアにある水尾・樒原(しきみがはら)・神吉の
あたりの集落は,荒ぶる川の水害を避けて高地に逃れた,いたって合理的な立地にあるということに。

ふむふむ,面白い盆地だなあ。



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そして,これって考えてみると,イタリアなど地中海沿いによく見られる「鷹の巣の町」と呼ばれる丘の上の集落と
重なる成り立ちです。

イタリアの場合は低地の湿気がもたらす疫病などからの回避が大きな理由だったようですが,こんなところも
今回のライドがある意味「イタリアっぽい」ルートをたどっていると感じられる地理的な符号の一致がありそう。

う〜ん,心にくい考察と演出に満ちたコース設定だね!



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亀岡の盆地に降りてr405に沿ったコンビニで休憩したあとは,ふたたび北の高地へと登り返す道に。

保津川と水尾の集落をつなぐ愛宕林道と並行して走る,ひとつ北の谷に沿う「七谷川林道」です。

事前にルートマップを見たときには「ここ何だろう?こんな道あったっけ?」と少し気になっただけ
だったのですが,行ってみるととても良いルート。

r25から樒原の集落まで,距離5.5km,標高差330mほど。最後は集落の手前に20%をこえるところが
ありますが,平均勾配は6%で路面の状態は良好。

何より谷間の道で適度に涼しく,樹影が濃いわりに空が広がる区間もあってかなり自転車向き。

地元の方が抜け道に使われる程度で車はほとんど通らない。

*あとで,車止めのチェーンがある途中の分岐で別の道を行くと,終点にハングライダーのテイクオフの
 ポイントがあるとわかりました。休日は「飛ぶ」ライダーの車やバイクの通行があるかも。



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*集落の入り口にあった古い道標?やはり高地の集落に長い歴史があるのがうかがえます。



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樒原の集落に出ると,リーダーはどんどん集落の中の細い裏道を進みます。

あっ,これって『河原家住宅(旧マギー邸)』に出る道だ!

去年の暮れに京都の友人と訪れたこともある風格のある旧家の上に通じる道だと気がつきます。

そっか,嵯峨野からだと,水尾経由のほかに七谷川林道を通ってここに来るのも楽しいなあ。

さっそく近いうちにまたリピートして走ってみよう...

今回はゆっくり見学しなかったのですが,『河原家住宅』以外にも,樒原の集落には往時のたたずまいを
残す古い家屋や遺構が残っているはずです。

ほら,『ジロ』の中継を見ていると,ときどき古いお城やヴィラ(邸宅)が映りますよね?あんな感じで
今回のルートの脇にはいくつもハッするような歴史の姿が息づいているわけです。



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そして,最後は神吉で小休止してから(ベッキーちゃんとの撮影会・笑)ダム湖畔沿いに気持ちよく走って
帰ったのでした。

いやあ,楽しかった!

これまである程度くわしいつもりでいた京都郊外の道にいくつもの発見がありました。

あらためてずっとラファがボクらに教えてくれる「道に恋する」感覚をまた味わうことができました。

お天気はジロというよりもフランドルのクラシックレースみたいでしたが,あの起伏に富んで
歴史の名残りがちりばめられたルートはまさに『ジロ』。



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企画とガイドに惜しみなく手間をかけていただいたリーダーのAさんとラファに感謝します。

また皆さんと素敵な道で会いましょう!グラッツェ・ラファ。





Commented by リキ at 2018-05-23 21:51 x
こんばんは。

「道の美学」というタイトルにひかれました。すてきな道ですね~。集落の中を抜けていく小さな道は雰囲気があっていいですね。
メイキング写真には「なるほど,マネしてみよう!」と思いましたが,みんなよりも先に着いていないことに気づき「無理だ」(笑)
今回もすてきな写真を何度も見返しました。
Commented by ペダル at 2018-05-23 22:11 x
リキさん,いつもありがとうございます。大丈夫です!今年こそ一緒にツーリングに参りましょう。存分にメイキング画像お撮りします。どこ行きましょう?九州が良いでしょうか?(^^)
by pedalweb | 2018-05-21 13:36 | 自転車系イベント | Comments(2)