ヤギと学校 〜ECCCルーラル・カプリ農場ライド

一週おくれのツーリング日記です。先週日曜日にクラブライドでBBQツーリングを楽しみました。


       *       *       *

前日の土曜は5回目のフレンチレッスンライド。いつものように京都に出かけ,ザヴィさんと京北方面へ。

その前の週末にラファ・ライドで行った七谷林道を案内したのですが,今回はかなりおしゃべりしている時間が長く,
日仏の働き方のちがいや日本の将来etc.と止まってはしゃべっていたので,ほとんど写真を撮らず(汗)

ということで,フレンチレッスンライドの記事はまた次回のライド後に。

さいわい,二条駅で彼と待ち合わせているときに偶然通りかかった地元のサイクリストの方と話が盛り上がり,
ぜひ一緒に走りましょう!となったので,次回はまた新たな展開になりそうです。

   
       *       *       *

さて,日曜のクラブツーリングです。

ルートは,播州赤穂駅に集合,海岸沿いに日生(ひなせ)まで走り,備前市の閑谷(しずたに)学校まで北上し,
そのあと西南に下って,岡山市のはずれJR上道駅の北にある農場でバーベキューを楽しんで,輪行で帰る,という
レイル&ライドなプラン。

ボクは朝は神戸の東,JR芦屋駅からの輪行ですが,新快速のない早朝の時間の在来線の旅はのんびりしていて,
9時集合に間に合わせるには6時台の乗車です。ふあぁとあくびしながらの出発(笑)



e0165831_22115092.jpg
*今回はじめて訪れた備前市の閑谷学校。江戸時代の創設ですが,予想よりずっと素晴らしい場所でした。



今回はクラブメンバー3人の他に,ゲストのズージーさんとそのご家族(奥様とお嬢さんは農場での現地集合)
サカグライドの講師で剛脚のカザティーさん,姫路の自転車仲間の方3名と,老若男女10名の参加。

そのうち走って食べるのフルコース参加は5名と,ちょうどいいあんばいな参加人数でした。

言い出しっぺはクラブキャプテンのイーズさんなのですが,ここのところ彼のライドプランは,コーヒー
ブレイクにハンモックでの昼寝,ジャージじゃなくシャツスタイルと,従来の「走り」中心のよくある
サイクリングスタイルからの「逸脱(レイドバック)」路線。

でも,行き先の『ルーラルカプリ農場』がヤギだけの牧場だと聞いたときにボクのアタマに浮かんだのは,
第3セクター運営の「動物とふれあおう!」的な農場での地産地消BBQ?だったので,「イーズさんにしては
わりとフツーな企画やね」とその真価を予想しないままに参加。失礼しました(汗)

ともあれ,ここのところ仕事がタフで心身ともに余裕のないボクにとって,服装も自転車もカジュアルな
スタイルでのんびり走って,最後はみんなで農場でのBBQや地ビールなんかを楽しんで,輪行でゆったり帰る
日曜日は素敵だな,楽しもう!と心からウキウキ出かけたのでした。



e0165831_22352523.jpg
*播州赤穂駅からスタート。Photo by シュンくん。



これは当日のボクの服装と自転車です。

イーズさんの「ロードというよりクロスで行く気分やね」という言葉を信じてボクはCX車での参加。

服装も上下Narifuriのシャツとパンツで,当然足元は歩きやすいジロのツーリングシューズ。背中には
デジイチも背負って,完全にお気楽ツーリングモード。

これが昔なら,乗っている自転車はランドナーかスポルティーフになるわけですが,将来はこのスタイルで
「遠距離徘徊老人」となって,各地をレイル&ライドしたい(笑)

ほかのメンバーも思い思いのカジュアルスタイルで,何となくこの冬から続いたイーズ先生のレイドバック
路線の集大成っぽい。

お初の参加メンバーもアッというまに打ち解けて,まずは播州赤穂駅から海岸線へ。

しばらくR250を走ったあと,備前福河駅の手間で一気に海岸の方へ降りて行きます。



e0165831_22453980.jpg


e0165831_22441041.jpg


ここから日生まで気持ちの良いアップダウンの道ですが,なぜかこの時点でボクの走りがひどく重い。
ふつうに踏んでいると,みんなからズルズルと遅れてしまう。

あれ?なんかおかしいぞ。体調は悪くはないし...早起きして朝食から時間がたって軽いハンガーノック?
...などと少し焦る。

登りになるとさらにズルズルはひどくなり,みんなの背中が遠のいてゆく。これってもしかして加齢が
原因?もうボクって一気に走れない体になってきたのか?(冷汗)

実はこれ,あとで休憩したときにわかったのですが,リアのホイールがちゃんとセットできていなくて,
リムがブレーキシューに干渉していただけというお粗末な原因。

ただでさえロードバイクより走りが重い32CタイヤのCX車でブレーキ効かせながら走っていたのか。

う〜む,輪行のときって,何かと自転車の組み立てを雑にしてしまいがち。気をつけなければ...
めっちゃイイ練習になったけど(笑)



e0165831_23050770.jpg


それから,今回はじめてシャツスタイルでの輪行カジュアルライドをしたのですが,上の写真でボクが
履いているタイプの膝下七分丈のパンツよりも,キャプテンやシュンくんが履いていたようなショーツの
方がペダリングには良いですね。

また,25℃以上に気温が上がる場合は,シャツよりもTシャツの方が快適かも。そういう意味では今季ラファが
出してきたTシャツなんてナイス。



e0165831_23055962.jpg


e0165831_23062621.jpg

e0165831_23074567.jpg



e0165831_23371618.jpg


全員が同じようにロードバイクじゃなくて,みんなが思い思いの自転車に乗ってくるのがここ最近の
イーズカフェスタイルなのですが,今日はとくに十人十車。

上の2枚の写真は安定のオールドスクール派のキャプテンとシュンくんのスティール製の自転車。

3枚目はゲストのズージーさんの新車「キャニオン・グレイル」

いまSNSでもよく話題になる最先端の自転車ですが,こうやってバッチリお似合いのツーリング用のバッグを
装着すると,ある意味「現代版ランドナー」なんだとナットク。

今回は28Cのスリックタイヤを装着されていますが,40Cまで行けるとのこと。

カーボンフレーム,ディスクブレーキ,振動を緩和する2段式のハンドルバーetc.と,最新のフルサスMTBにも
通じるものがありますね。あとはフロントギアがシングルになり,リアは40Tとかに発展するのかな?

ボクもゆくゆくはこれに近いスタイルの輪行ツーリング用の自転車が欲しいなあ。



e0165831_23374299.jpg


e0165831_23380421.jpg


e0165831_23382337.jpg


e0165831_23385223.jpg


そして,今回驚きとともに強く感銘をうけたのは,海岸部の日生から北上して,JR吉永駅の近くの静かな谷あいで
訪れた「閑谷学校」。

江戸時代初期の1670年に岡山藩主池田光政が創設した学校なのですが,これほど見事なロケーションに見事な建物が
あるとは思ってもいませんでした。

ボクは子どもの頃,ゼンソク持ちで,療養も兼ねて,ここから30kmほど北の農村部にある母方のいなかで春夏冬の
休みを過ごしていたので,この学校のことは早くから聞いていたのですが,一度も訪れずじまいでした。

今回もキャプテンのプランでは,「時間があれば寄ってみよう」くらいのスポットだったのですが,これまで訪れた
国内のどの名所旧跡よりも心を動かされた場所になりました。

ひとことでいうと,450年も前の開明的な藩主の教育上のヴィジョンがいまも色あせずに土地の空気の中に
感じられることがある種「奇跡」だと思ったのです。本当に驚いたなあ。

封建時代の学校でありながら,パブリックであると同時にパーソナルでもある「厳しい優しさ」が感じられる
こんな雰囲気の学校って,世界広しといえども,なかなか現存はしないでしょう。

また近いうちにゆっくり訪れて,できれば津山〜和気の間での周遊ツーリングも楽しんでみたいものです。



e0165831_23571080.jpg


ということで,閑谷学校のあまりの素晴らしさにすっかり長居してしまったあとは,BBQの予約時間に
間に合わせるべく,けっこうなペースでのペース走(笑)

あ〜お腹すいた!となる頃,時間ぴったりに『ルーラルカプリ農場』に到着。現地集合のメンバーも無事に
着いている様子。

ここも閑谷学校に負けず劣らず,予想を上まわる内容に驚きの連続でした。

まずは,何といっても,食事とお酒が充実しています。ただ食材が新鮮で美味しいというだけではなくて,
ここがエミリア=ロマーニャ州かオートプロヴァンスの農場だと言われても不思議はないほど,本格的な
「ヨーロッパの料理」のエッセンスが感じられるレベル。



e0165831_00052990.jpg


e0165831_00072099.jpg


e0165831_00090957.jpg


食事をいただくのはヤギの飼育舎と同じ屋根の下の半屋外という野趣あふれる場所なのですが,一見ワイルドに
見えるサラダなども,実に吟味された食材がちゃんと計算されたサービススタイルで出されてきます。
(念のため。BBQのお肉はヤギではなく牛肉です)

材料を自分たちで焼いて食べるのではなくて,すべてスタッフが調理されて,こちらは食べるだけ。

自家製のパンも滋味のあるもので,ここが屋内でそれなりの調度の部屋なら,十分に人気店のビストロや
トラットリアのメニューばかり。

それに何といっても,お酒(笑)



e0165831_00143334.jpg


お酒は各自が農場内のショップで選んでいただくシステムなのですが,ドイツなど各地のビールをはじめとして,
ナチュラルワインの充実度にびっくり。

といっても,ボクらの知識のはるか上をゆくラインアップで(あとでその道のプロに聞くと,ナチュラルワインの
品揃えがとてもトレンディでしっかりしたものだとか),ボクらはご主人のアドバイスにしたがってワインを選び,
ただただ食事とのマッチングの見事さに感心するばかりだった,ということなのですが。

いやあ,これは往復を輪行にして,飲んで帰るライドにして大正解!ここをライドの目的地に選んだキャプテンの
慧眼というか鼻のよさにシャポー!です。

最寄り駅まで十分に徒歩圏なのですが,できれば近くに泊まって,ご主人(小林真人さん)といろいろおしゃべり
したいなあ。ここを中心にキャンプライドなんかも良いかもしれません。

帰ってからようやく,ご主人の「農」や「食」に関する考え方がよくわかる文章を読んだのですが,考え方だけ
ではなく感性もすごく魅力的な方だとわかります。ああ,もっとよく調べてから行けばよかった!



e0165831_00200152.jpg
*ご主人と日本酒談義で盛り上がる面々。いやあ,愉快。Photo by ズージーさん。



帰りの電車の中でしみじみ思ったのは,学校も農場もレストランもすべて「ひと」との出会いにつながってこそ
醍醐味が生まれておもしろいということでした。

去年の秋にやはりクラブライドで訪れた那岐の『タルマーリー』には,東京出身のご主人が「パンと酵母」の
ユートピアを求めて岡山の高原に移住される物語がありました。

ここ『ルーラルカプリ農場』には,明治の開国期から続く酪農農家の4代目のご主人が,農場の主役をヤギに
アップデートされる知的な冒険や広く世界で経験された「食」を地元で昇華して表現される物語があります。

こういう市井の賢者との「出会い」が何より楽しいのですね。

一度のライドでこんなふうに「啓蒙」と言えるほど,ひととの出会いに学んで教えられることがあるというのは
とても稀有でしあわせなことだとつくづく思いました(今回は池田光政公と農場のご主人)。



e0165831_00323401.jpg


e0165831_00324714.jpg


「道のおもしろさ」にワクワクすることもあれば,「人との出会い」にドキドキして,大きく知見が広がるのも
サイクリングの楽しみ。

心から愉快で,実り多い日曜でした。また行きましょう!







by pedalweb | 2018-06-03 00:43 | ツーリング/ポタリング | Comments(0)