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2020年『ラファ・ウィメンズ200神戸』を終えて part2 (ミドルエイジの女性たちのしなやかさや明るさは将来の自転車の世界にどんな影響をもたらすのか?)

前回の記事の最後でふれた「ミドルエイジの女性たちのしなやかさや明るさは将来の自転車の世界にどんな影響を
もたらすのか?」という話題について,もう少し書いておこうと思います。

口の悪い言い方をすれば,『ウィメンズ100』って参加者の多くが中高年の女性たち...自転車初心者にありがちなポッチャリさんで,
乗っているフォームもお世辞にもきれいとは言えないことが多い...というのがこのイベントの現実です。

*『W100神戸』の参加者はトレラン経験者などもともとアスリートの人が多くて,ちょっと例外的でしたが(汗)

そして,そういう女性たちが初めて100kmを走り抜いて,自転車ってこんな距離を走れるんだと感動経験がカタルシスに!
というのが,いわばラファ公式イベントとしての謳い文句ではあるのですが,2年続けてサポートで参加させてもらって,
実はもっと深い意味や価値があるイベントだということが見えてきた気がするのです。



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結論を先に言うと,こういうカタルシス重視の一見キャッチーなとらえ方って,ロードバイクを乗りこなしていて,メカにも
自転車ファッションにもうるさい「男たち」の上から目線がその背後に感じられてならないのです。

でも,そこにとどまっていると狭い狭い自転車趣味の世界しか残らないのでは?というのがボクの疑問です。

もう自分たちは自転車趣味の高みにいるけれど,初心者のオバさんたちって,こうすれば感動するでしょう?通過儀礼として
100kmを完走してみましょう!...なんだか,そんな目線の,人生に対する幼い理解にとどまるのは避けたいのです。



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もちろんこれはラファが明示的に表明している価値観ではないですし,むしろこれまでラファが抜け出そうとしてきた対象でしょう。

そもそも女性たち自身の中にだって,こういう発想に縛られている人もいて,そういう人は得てして趣味の自転車の世界に記録や
数値へのこだわりを持ちこみがちです。どうしてもそういう発想の世界は「上下」に人を振り分ける物差しの匂いがします。

実は『ウィメンズ100』の真価はそこからは生まれないと思うのです。

ひとりの人間として立派に生きてきて,女性としての社会的ないしは家庭的なハンディキャップも抱えつつロードバイクで走る
「女性サイクリストたち」のリアルな現実は,そういう幼い認識とはぜんぜんちがった世界観の上で豊かに花ひらいています。



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ちょうど良いタイミングで,関西のラファのアンバサダーでもあり数々のライドイベントのリーダーでもあり,数百キロを走破する
ブルベライダーでもあり,シクロクロッサーでもあるミケさんがfacebookのご自分の記事で「ウィメンズ100」ってなんだろう?と
あらためて問いかけてらっしゃいました。

ボクなりに今の時点で考えている「答え」をコメント欄に書かせてもらったのですが,ボクの「ウィメンズ観」を表す内容なので,
ここでもう一度書いておきたいと思います。



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ミケさんの問いかけに対するボクの「答え」

異性のサポーター&カメラ担当として2年続けて参加して少しだけ見えてきました,W100ならではの魅力。

いみじくもミケさんが書かれているように「決して若くない女性たちの」祝祭なんですよね。

ほおっておいても天与の輝きがあった若い頃とちがって,自分で日々手入れしてはじめて美しさを保てる年令での
試練ととまどい。

ご本人たちは気づかれていないかもしれないけど,走る距離や標高ではなくて,自然の中で道に恋するように走り
ながら,大人の思慮としなやかさがさらに磨かれてゆく姿が美しいんです。

とくに欧米にくらべて女性の若さ(メディア上での商品的な鮮度)だけがもてはやされがちな幼い日本の風土の中では,
とても先進的でラファらしいと思いますよ。



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ボクにとって『ウィメンズ100』は,初心者女性たちが初めて100kmを走り抜いて,自転車ってこんな距離を
走れるんだと感動経験を得るだけのイベントではありません(それはそれでわかりやすいひとつの「ハッシュタグ」
だけれど)。

また,華やかな自転車ウェアに身をつつんだスポーティな若い女性たちがこれまでのロードバイクでのライドの
イメージを覆すようにキュートであでやかな映像をSNSに発信するためのイベント,というだけではないのです
(それはそれで過去にはなかったひとつの「革新」だけれど)。

ボクが感じた『ウィメンズ100』の魅力は,サドルの上では初心者だけれど,「人生」という点ではもう十分に
経験を積んで,大人の思慮としなやかさを備えた女性たちが「人生」の魅力をこれまでとはちがった観点から
とらえるための機会を提供するところにあるのです。

自転車に乗る時間は,日々の暮らしの中では経験したことのない風を切るスピードであったり,山の渓谷の清流の水を
仲間とかけあって大笑いする時間であったり,真っ黒な雲から落ちてくる頬に痛い雨にテンションが上がる道のりで
あったり...何であれ,自分を囲い込んでいた枠組から外に飛び出す機会を提供してくれますよね?

これは登山など他のスポーツにも通じることですが,ロードバイクという手段は,フィットネス・社交・旅という
3つの要素を(おそらく一番)高い次元で同時に提供して,暮らしを豊かにするツールになりえます。

そして,『ウィメンズ100』のようなイベントによって,女性だけではなく,世界のすべての(社会的権利や地位の面での)
マイノリティの暮らしを豊かにできるポテンシャルが自転車にあるということを一目瞭然に示せるのです。

そんなわけで,ミドルエイジの女性たちのしなやかさや明るさは将来の自転車の世界にきっと大きな影響力を持つだろうと
ボクは考えるのです。

皆さんはどんなふうに思われますか?







Commented by nanonano036 at 2020-09-23 05:49
はじめまして!
自転車には怖くてなかなか乗れないので、自転車に乗る、100kmも自転車で走る!これだけで、私は尊敬します。
友人はチェコに5人で行き、1人が車で走り4人が自転車、ある距離で交代、という旅をしたそうです。
Commented by ペダル at 2020-09-24 11:52 x
nanonano036さん,はじめまして!

書き込みありがとうございます。自転車楽しいですよ〜。
今回の参加者の皆さんも初心者女性がほとんどですが,皆さんついこのあいだまで100km走るなんてムリ〜って思ってた方たちです。

そのチェコの旅行楽しそうですね!プラハには行ったことがあるのですが,ボヘミア地方良さそうですよ♫
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by pedalweb | 2020-09-20 22:20 | 自転車系イベント | Comments(2)